そうだろ？
何もかも狂ってる、狂っちまってる

人なんて簡単に死ぬ、この剣を振り上げて勢い良く降ろすだけ
実にシンプル、お手軽で誰にでもできる事
そこらへんのガキにだって買えるんだぜ？
金を払って人を殺してみたいって奴も居る
そこらへんのガキが売られるんだろう？

それがおかしいと言えば殴られるだろう
何度噛み付いてもクズどもは無限に生まれ来る
ならば死ぬ命もクズであったと言うのか
クズが生まれ、クズが死に、その中にオレが居るのなら

嗚呼、なんだそうか。
それでいいのか。


「――ちょっと、ガウリイ？いーかげん起きてよ？」
「・・・ん、もーちょい」


――良くはないな。

リナはクズじゃない。ちょっとっていうか、かなりがめついけど。
彼女がクズじゃないのなら、生まれ来る命もクズじゃないのかもしれない。
無残に死に行く命も意味があったのかも、しれない。

オレが見ることを諦めた世界。

「ちょっと！もう朝だって言ってるでしょ！ご飯抜くわよ！？」

少し怒り出した彼女の声。
怒ってる彼女は炎みたいで綺麗だ。見たい気もしたが、まぶたはどうにも重くて。
オレは布団ごと、その中に居た彼女を引き寄せて―

「それは困る・・・けどなぁリナが悪いんだぞ？寝かせてくれないから」
「・・・っ！？あんたがっ・・・☆□×」

なんだかんだで甘い彼女が数分間だけ我慢してくれるのを知っている。
泣きそうになるぐらいの、幸せな時間。

だってなあ、リナ
こんな世界、知らなかったんだ
夢じゃないと教えてくれないと、歩けないなんて。

それこそ狂ってる、それはオレが住む世界

ハートをガウさんがあげるよ、っていうイラストがついてたので
じゃあ、もらわないとねって思って。


くれるならもらうわ、くれるんでしょ？ちょーだい？
何よ、ロマンがないとか変な事言わないで頂戴
あんた、あたしに何期待してた訳？
涙流しながら抱きついて「ガウリイっ！あたしも好きだったの～」なんて？
やーよそんなの。

・・・はずかしいじゃない。