うさぜるさん


「あんた 何それ・・・?」
「・・・そこの遺跡のトラップだ、誰彼かまわず獣の耳を生やすらしい」

ついにうさぎも合成したのかと、久々に会ったゼルになんと声をかけるべきかと―
だって考えられる?「やっほーひっさしぶりー」って声かけて
背中をばちーんっと叩いて、ずれたフードからぴょこっと飛び出たのはうさちゃんの耳っ!!

笑いをこらえれるやつがいたら会ってみたいもんである。

「あっはっは、似合うわよ~ゼルうさちゃーん?」
「黙れ、俺はこれから呪術師の所に行くんだが・・・間違っても行くなよ?」
「何、そこすごい遺跡なの?」

「リナ・・・お前、ガウリイの旦那に耳を生やして遊ぶつもりだろう?」
「しないわよそんな、ガウリイにだって五分の魂よ」

はふ、っとため息をつきながら ゼルの肩ががっくしと落ちる
「あんたらは・・・相変わらずか」
「・・・まーね」

「だから、連れてくのよ」
「ほどほどにせんと、逃げられるぞ?」
「だいじょーぶよ、だってガウリイよ?
かわい~犬耳でもうさ耳でも生やせば少しははっきりするんじゃない?あのくらげ頭」

「もういい、俺は行く・・・」

黒いうさみみを ゆらゆらとさせながら、手を振りつつ
あたしは宿へと帰り
―まっすぐに遺跡にガウリイを連れて出かけ、

何故か二人とも獣耳をつけて帰ってくる事となったのである。

尻尾も生えるなんて、冗談じゃない…!!
何で説明してくれなかったのよ!入り口に入っただけで作用するって!
普通扉とか宝玉が・・・ああっ!もういい!
やたらうれしそうに犬尻尾を振るガウリイがむかつく!!

「猫耳かぁ、いいなあ」じゃないっ!!
何も良くない!こんな恥ずかしい変態の格好で宿になんか・・・帰れるかっ!!


何故か旅に出たという呪術師の家を目の前に、あたしは力なく崩れ落ちるのであった。


2010.07.12


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