静かに安らかに


あれから幾年が過ぎたが、俺はまだこのキメラの姿だ
研究は一応続けている。
1年程、セイルーンの情報網と技術、そして研究者と共に書類や動物実験を繰り返したが…
現在何の進展もない、日が落ちるのを書物と過ごし、月が昇るのを培養液を眺めて過ごした。

疲れ果てて少し考えるのをやめたある日、
ふらふらとたまに遊びに来るアメリアが変な事を言い出した

「ゼルガディスさんの肌なんかぷにぷにしません?」
は?

「そんなはずは」

・・・ふにっ。

ぽろっ。肌の岩が剥がれ落ちる。
俺は訳も分からず自身がついに「壊れた」のかと絶叫した
無理に強化した体だ。長く生きられるはずなどなかったのだ、と

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「ゼル、ミックスジュースは確かに分けられないわ
 そのままだとね」

「あんたをベースに、負の感情と魔力を媒介に混ざりやすくしたのね
 憎めば憎むほど、魔力を使えば使うほど混ざっていったのかもね

 つまりー・・・完全に元には戻らないでしょうけど
 ほっとけば元々混ざりにくかった油は浮いて、水は下に沈むわ」

ぴこぴこと人差し指を揺らしながら、そいつは何時も通りの生意気そうな顔で答えた。

「ま、自然分離って奴よ」

そうして彼はその場に崩れ落ちた
ごちりと、生々しい音が響いた。
リナが腹抱えて笑い、ガウリイの旦那はいい音がした、などと言い――

レゾ、あんたは俺を試していたんだろう?
自分のように、見苦しく「方法」を探して 闇に落ちるかを
寂しかったんだろう?仲間が欲しかったんだろう?例え憎まれたとしても
あんたは俺にー・・・

ゼルガディスさん、よかったですね!
「ああ」

俺にこんなに綺麗な世界をくれた
感謝、してやってもいい
ほんの少しだけなら

瞳を開けた俺の目に映ったのは
あんたがあれほど望んだものだった

6/4追加左フレームらくがきよりと
封印してたテキスト倉庫より、去年書いたらくがき文章蔵出ししてみた
2010.06.04


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