おねこさまが哂う


にゃん

にゃごーなーなーなー

にー?

宿の裏の庭を何気なく歩いていると、
オレはゼルガディスが―猫に埋まっているのを発見した――

「ゼル?すごい数だなこれ」
「――ああ」

ぽすんと横に座ると、我先にと黒い猫が擦り寄ってきた
撫でてくれと目が言っている、恐る恐る触れるとそれは「にー」と鳴いた
ゼルを見ると、膝だけでも3匹は乗っており、
本の上には日向ぼっこを決め込んだ猫が丸くなり、
後ろのマントでは子猫が寝息をたてていた
…頭の上は流石にちくちくするのか何も乗ってはいないようだ

「そこのが、ふくちゃんだそうだ。宿の猫でな」
「ふうん、ゼルって猫とか好きなのか?」
「犬よりは猫だな」

にー

でかい猫がのそっとガウリイの後ろから、どすっとガウリイの頭に飛び降りた

「おも・・・っ」
「やるな?お前」

くく、っと笑いながらゼルは淡々と書物を読んでは 何かを書き入れる
ふくちゃんの尻尾がたまに視界をゆらりと横切り、

「動けん」
「だろうな」


――そうしてオレは身動きができなくなった


「・・・なあゼル、猫好きか?」
「それは動物か?……それとも人間か?」

しばらくオレ達はくだらない話をしながら、
くつくつと喉を鳴らしながら二人笑っていた
笑うたびに、肩の猫が爪を立てて離れまいとしていたのが
また可笑しくて、オレは笑う

ふくちゃんがぱふぱふとオレの頭をはたいている
居心地のいい場所を作っているようだった
手元の黒い猫が、なーなーとオレを呼んでいた

何を見ても彼女を思い出すのは悪い癖だと思いながら
日が落ちるのをただ二人で見ていた


2010.06.01

おねこさまが笑う2


「・・・なあゼル、猫好きか?」

その男は、飄々とした面で俺にそれを聞いて来た。つまり、こう言いたいのだろう。
”リナは好きか”と問うているのだ。

「それは動物か?……それとも人間か?」

いつもどおりの笑顔で、ガウリイは「んー」と声を出しながら。足元に懐いている猫をぐしぐしと愛おしげに撫でた。
まるでリナのように。

「ガウリイ、お前は動物とか好きそうだな?」
「ああ」

こちらには簡単に答えてくれる。意地が悪い男だ。不安なのだろう、あんなにもリナを傍に置きながら。
俺がリナを少なからず想っていると知っていて聞いている。
大方リナと何かあったのだろう、帰ってくるなとでも言われたのか。
堂々と何も迷いが無い男であったはずだ、こんな情けない姿が見れるのはきっと俺だけかもしれない。

「ガウリイ」
「ん?」
「猫は好きだ、リナも好きだ、これでいいか?」

答えるはずがないと思っていたのだろうが、大間違いだ。
もっと困ればいい、くっつくならさっさとくっつけばいい。

ハッ、と笑い声をあげてからガウリイは息を大きく吸い込み、ゆっくりと吐き

「――オレもだ」

と、微笑んだ。

結局は俺はこの男が嫌いではないらしい。
うまい酒でも探してやろう。
大切な友人の為に。

栗鼠さんがゆみこさんと遊んでるというので
携帯電池を消耗させようとKaiさんと共に爆撃したものの1枚
嫌がらせは楽しい

明日のご飯←リナ←ガウリイ&ゼル←アメリア
2010.08.28


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