ティーソーサー


「なあ、ゼロスお前が食ってるものってどこ行くんだ?」
「おなかにいきますよ?」
「そーなのか?」
「・・・普通そーですよ?ガウリイさん」


目の前の人間は、たまに突拍子もない事を聞く
上司の命令で出会ったリナ・インバースの仲間

そこまでは分かった
だがそこまでだ――普通の人間とはどこか違う気がする
人間の勘だけとは思えぬ瞬発力、思考、戦闘、そして魔力
何よりも気にかかるのは、アストラルサイドから見た彼の姿
本当に『ただの人間』、なのか
光の剣を長く持ちすぎた為に感化されたとも言い切れない
ちらちらと不意に見える黒い炎がたまらなく美しい――

質問し返したいのは僕なんですけど、と言いそうになるのを彼は抑えた
大方また当たり障りの無い答えでトボけるのだろう

―――この人間の恐怖は例えようの無いぐらい美味だろう
どんな悲鳴をあげる?何に恐怖し、何を思って果てる?
知らない味を想像しながら
彼は楽しげに負の感情を想像しつつ、彼は紅茶を闇へと流した

甘かった気がしたが、すぐにそれもどうでもよくなった

「なあゼロス」
「何ですか?」
「それってうまいのか?」
「・・・おいしいですよ?」

おいしいに決まっている
これはおいしいものらしいから

だからきっとおいしいに決まっている――


舌なめずり。
2010.06.2


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