You're My Sunshine


ぽふ

とくとくと
止まることを知らない鼓動
リナと、小さなこいつと、オレの音が聞える
爆発しちまいそうなぐらい大きなお腹
恥ずかしい、と我慢するリナと、何?と不思議がる中からの小さな気配

とくとくと

「オレだよ、元気かー?」
「そーいう詐欺、流行ったわよねー」

(・・・・・・!)

ああ、不安がっちまった。
ゆっくりと手を彼女の腹に乗せ、瞳を閉じる
オレの声がまだ聞き分けられないのだろうか
早く分かるようになってほしい、父親だと

「大丈夫、オレだよ」
(・・・)

迷い、不安、恐れ。
会いたくない、なんて言ってくれるなよ?
「大丈夫」「大丈夫だから」と繰り返すもちっとも機嫌が良くならない。
困った。

「それ、なおさら…あやしーわよ」
「リナ、お前なあ 少しは赤ん坊を安心させよーという気は」
「だって」

閉じていた目を開けてリナを見やる
そこにはぷうっとふくれっつらをしたリナ

「帰ってきてからあんた、あたしに何か言った?」
「あ」

思い返してみると「ただいま」ぐらいしか言ってない気がする
「あー、すまん」
「退屈で仕方ないのよ、なんか面白い事とかなーい?」

リナを取られてつまらない、とは言えず

――少し考えて、

「あ、こいつに嫉妬してるのか?」




何時になっても彼女のスリッパは、痛い。


2010.05.28


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