忘れ行く日々



「てめえ、自分の息子をどうかしてんじゃねぇだろうな?」

黒髪の男が、隣にいる金髪の男を軽く小突く
そいつは、少し不愉快そうに眉を寄せた

「かもしれん」
「こんなちっちぇえのに、無理させてどうすんだ?
 子供ってのはもっとこう、うちの娘みたいに…」
「私に何が出来ると?」
「笑ってねえんだよ目が、あいつ」

「私も昔はこんな姿だったのかもな…
 インバース、お前はどうだった?」
「覚えてるはずがねぇ、あっという間だったからな」

目の前には無邪気に眠る彼らの娘と息子が眠っている
びくびくする彼を、彼女が勢い良く叱り付け
年下の彼女は彼を1日まるまる連れ回して遊んだらしい

「あんた、そーやってぐじぐじしてると なめくじみたいに溶けちゃうんだから!」
「えっ・・・それはイヤだ」

きっとこんなに楽しかった今日も忘れてしまうのだろうか

黒髪の男が「こんなにちいせえのにな」と
金髪の少年の頭をゆるゆると優しく撫でた

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「変な夢…見たのよ」
「オレも、小さい時の夢だったな」



「「楽しかったかった事だけは覚えてる」」



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忘れえぬ 日々



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