えるめきあ☆らんす


ちっちゃなうさぎが ぴょこぴょこと
オレの目の前を跳ねていく

「ガウリイっ!オーダーはあたしが取るから、あんたこっち!覚えられないでしょ?」
「お、おうっ・・・」


「人が足りないから」と聞き、丁度欲しいデジカメなんかあったりして。
目的も無くなんとなく返事を出した。小さなレストラン。
更衣室でエプロンが結べずにおたおたと時間を無駄に浪費していた。結べない。
そもそもこんなエプロンなどつけた記憶は―小学校、ぐらいだろうか。
後ろにボタンがついていたような気もする。よって、後ろで結べなくても良いのだ。
かた結びがきゅっとしまった音と、ドアが開く騒音はほぼ同時だった。

「おっそ~~い!!何分着替えんのよ!駄目新人!」

・・・うさぎの耳が生えた小さな女の子。
そおいえば、この店はうさみみがどうとか言っていたような気がする。
小さな子供を働かせるってのは合法、なんだっけ?

「いいからっ、さっさと来る!30分で全部覚えんのよ!」
「ええっ!?無理だろ!?」

自称天才うさぎのリナ・インバース。10歳。
すげえなあ、7歳も年下なのに。
っていうか・・・うさぎでいーのか?
てきぱきと容量良く教えてくれたのだが、難しくて一向に頭に入らん。
何故レストランの接客にアプローチの仕方やアクションの取り方を角度まで覚えなければならないのか。
尻尾の振り方って、それどっか間違ってないか?
――可愛いけど。

30分色々教わった気がするが、どうしてもスリッパがどこから出てくるのか分からない。
覚えの悪いオレをぱかぱか叩くリナの怒った顔が面白くて。後半ちょっとからかった。
…お盆で殴るのはいい、ロッカーを蹴倒す小学生がどこに居るんだ?

「ぼさっとしてないで!あの机片付けるっ!」
「わ、わかった!」

目の回るような忙しさの中、綺麗に一人で結べただろうエプロンの紐が横切って。
背中の結びが少し、恥ずかしくなった。


しっかり屋さんだけど大人に明らかに騙されている つばさリナちゃんと。的意識が無かった少年ガウリイってどうかな。
っていうかこれ青年にしたら つばさ文庫だね
いやっほう。
2010.05.19


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