* 謎SS *

なんかできちゃったけどよくわかんないよ集


 


「ガウリイ」

夕方まで戻らないから、家でごはん先に食べてて!と勢い良く飛び出したはずだ
はて?と首をかしげながら、忘れ物でもしたのか振り返ると
そこにはちいさな彼女がちんまりと立って居た

「やっとこっち見た」
「…リナ?」

顔立ちも、声も、気配すらも彼女だ
だがうっすらと透き通って 向こうの地面が見えている
ただし5年前の程姿で
まさか、彼女に何かあったのか
もしかして死んでしまったのではないか、彼女は魂だけここに来たのではないか
嫌な汗がじわりとにじむ

「あ、だいじょぶ あたし生きてるから」
「ほんとか?」
「あたしが嘘言った事あった?」
「割りとあったぞ?」

くりくりとした瞳が不満そうにこちらを覗き込んでいる
少し不安そうに
でも嬉しそうに
今は見れないその魔導師姿が懐かしい
頭を撫でたい衝動に駆られたが、触れられるのだろうか
怒る彼女をなんとなく見たくなって、いつものように彼女の柔らかい髪に手を伸ばした
ふわりと感触が手に伝わる

「…怒らないんだな」
「ねえ、ガウリイ 今のあたしって幸せにしてる?」
「たぶんな」
「たぶんって何よ、はっきりしなさいよ」
「自信がないんでね」

心地良さそうに、オレの手に擦り寄る
幻にしては出来すぎている、現実にしては夢のようだ
「…ちゃんと一緒に居る?」
「ああ」
「…ねえ、言った?あたし」
「何を?」

ぽこっと赤くなった彼女に、それが何かすぐに分かった
ああ、それでか と納得もいった

「言えた?」

ますます赤くなる彼女が愛しくて
意地っ張りな彼女が今と変わらないのがまたおかしくて
オレはきっと情けない顔で笑ってたんだと思う

「オレが言ったよ」

満足そうにふわりと笑い
「そっかあ」と呟いて
ソレはそのまま空気に溶けていった

「…よくわからん」
オレはその場に崩れるようにしゃがみ込んだ
顔が熱い
きっと耳まで真っ赤だろうな、さっきのリナみたいに


やっぱりリナと飯を食おうと、財布を捜していたのだが
どたどたっばたん、と乱暴にドアが開いた音
顔を真っ赤にしたリナが、息を切らしながら涙目でオレを見るなり
「へ、へんな幻みみ・・・みたんだけど!!」と、オレに駆け寄って来た
――どうやらオレも化けてでたようだ

「き、聞いてくれたかってしつこかったのよ」
「なんて言ったんだ?」
「くらげ頭って言ったわ」
「ひでえな」

リナの嘘に笑いながら、変わらぬ優しい髪に手を置いた
リナちゃんサイドはきっと、にこにこ笑うだけで
「聞いてくれたか?」って一度だけ聞いたんだと思います
さっぱり何の事か分からない、と それよりもこの現象が何なのか首をかしげるリナに
彼はきっとキスをして去ったものと思われます
余所見するから嫉妬する過去ガウリイのお馬鹿さがいいんじゃないかな!
まさか彼に何かあったんじゃと仕事をぶんなげて帰ってきたリナさんでした



某RPGツクールゲーのキャラ設定が、裏では暗殺者の神父と角の生えた女の子っていう
大変萌える設定を紹介してくれたので
これをガウリナでやるべきって事で会話してた副産物
やってないけどなんだかここまで展開しちゃいましたみたいな感じになった

「あたしは神なんか信じない、信じてやるもんか」
彼女は吐くように、泣くように、叫ぶように、呟いた

「あたしはあたしだけを信じる、他には何もいらないわ」
「許しを請うには丁度いいだろ?」
「許し?あたしは後悔なんかしないわ 懺悔もしない」
「追いはぎみたいな事をして罪悪感はないのか?」
「悪人に人権は無いわ、無論あたしにもね 尤も、こんな姿人間と言えるかどうかはー…」
「泣きたくなった事は…ないのか?」
「ないわ」

と、ゆーぎすぎすぶらっくガウリナ
なんだかんだでガウリイに気を許した途端殺し屋だと判明して
すったもんだでひしっとするんじゃないかな!
そういうらくがき

リナが、「あんたのせーで、一生結婚できそうにないのよね」と言った
好きな奴が居るのか?と聞いたら「いるわよ」と一言

そうか。

朝起きたら、ガウリイが剣を残して消えていた
宿には伝言が
「楽しかった」とだけ、一言

暖かい日差しの中、金髪の長い髪を垂らして
大きな迷子は、じっと座っていた
彼はぼんやりと、あたしが近づくのも気がつかないぐらい、呆けているようだった

ごつんっ

「っ・・・だっ!?・・・リ、リナ?」
「・・・あんたがいないせーで、一生結婚できそうにないの」
「責任取って頂戴」

「どういう意味だ・・・?」
「わかんなくていいわ」

「・・・そーいう意味なのか?」
「・・・そーいう意味よ」

「これからも、楽しいわよ?」

あたしは彼に手を差し伸べた


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