* うさみみ館 *

あるところに、ちょっと変わったご主人様と
就職難でしぶしぶやってきたメイドさんと
いたずら好きの執事っぽいと
あと色々何かがおったそうな

そんな設定で遊ぶぺーじ





◆ご主人様

道楽で犬耳だのうさ耳だの作ってる馬鹿
生態は謎に包まれている
天才なのかと思いや
未だDVDの録画予約が出来ない
地デジの導入も分からない

仕事中のメイドさんをからかっては殴られる
殴ると中がスカスカのスイカの音がするとか
◆メイドさん

よく怒りよく笑い、よく食べよく働く
うさ耳を無理矢理つけられているが
ちょっぴし気に入っている
でも羞恥心からか外ではよく外す

いつか二人を海に沈めようと思っている
家族構成は父母姉
趣味は悪人をいじめて身包みを剥ぐ事
産業スパイだの強盗が来るのでしあわせ
ぶつぶつ言いながらも居心地が良いようだ
◆執事さん

暗殺に来た館に住み着いた 黒いお仕事の人
面白いことが大好きらしい
ご主人様と一緒に何かを地下室で作っている
ふらっと出かけては戻ってくるあたり、
完全廃業ではないようだ

殺そうとしたターゲットのご主人が
うさみみつけてるだなんて
反則以上の何でもないですよぉ、との事
ツボだったらしい






目の前にあるのは、そう うさぎの耳のカチューシャだ
そこに埋め込まれたICチップと無線接続による別パーツ、いわゆるうさちゃんの尻尾
冷たい机に置かれたそれは、少し・・・いや かなりこの館には不似合いだった

「今まで色んな「企み」や「策略」を見てきましたが・・・・その、これはリナさん用ですね?くっ・・・くくっ」
「びっくりするとこう、跳ねるんだ」
「こんなもの道楽で作りませんよ普通」
「そうかぁ?あ、音に反応してそっちを向くんだがな、反応する音は・・・」
「ぶっ!だっだめです もう我慢が」
「ゼロス?」
「あんたら、ちょっと表に出なさい」
リナのもう一つの耳と、見慣れぬ尻尾は ふるふると怒りに震えてるようだったが
その姿すらおかしく 彼はその場に崩れ落ちた

ガウリイと一緒になって猫耳だの衣装だの作っては 試作品だとリナに着せて
売り出してみたら案の定バカ売れ
ゼロスがここで呼吸困難



ゼロス発案特殊機能 「らぶらぶかたむすび」



館全焼。
何作ろうとしたおまえら

僕「だめだ、この館はもうだめだ 燃やそう(笑)」
友人「それすら萌え」

ってことで書いた
案外萌えた



じゃあ本館で寝ようぜ→メイド部屋ないんだけど→一緒に寝ればいい→今ココ
すべてが罠に見えてきた

ご主人様のタイってのはメイドを縛る為にあるのではないか説



「不器用なオレを笑ってくれ」
「ここまで来ると感心しちゃいます」
「リナが」
「暴れたんですか?」
「冗談だったんだが、オレを逆に縛るって言い出したんだ」
「それはそれは…ひょっとして寝てらっしゃらない?」
「寝れるかよ…」
「すぴー」

「ほどきます?」
「もーすこしこうしてる」

就職難。氷河期。言い方はいくらでもある
今問題なのは、ねーちゃんが「自立も出来ないのなら…」、と
ねーちゃんの好意とやらで職場、もとい地獄のお世話になってしまう事だ
はふりとため息が口から漏れる
死んぢゃうんぢゃなかろーか
『良かったですね!』だなんて言えるのは ねーちゃんをよく知らないアメリアだから言えるのだ
こんなことならどっかのあほたれと恋でもして、永久しゅーしょくの方が楽だったのではとおもふ
はふ。

とんっ、と何かにぶつかって あたしの死人のよーな歩みが止まる
「っと、危ないな」
低い声に視線をあげると、犬耳を生やした金髪のにーちゃんが突っ立っていた

うさみみをゆらゆらと動かしながら あたしはペンに想いをぶつける
ごりごりと机が削れる音がするのは気のせいではないだろう

試作品を試着して歩いていたらしいガウリイを「変態!」と殴り飛ばしし
ちょっぴしの罪悪感から病む得なく仕方なく嫌々渋々、かわいそうだったかな〜なんて思ってお見舞い行ったのだが
あいつは満面の笑みで「うさぎは好きか?」と聞くので 「かわいいと思うけど?」と答えた
それが間違いだった
ヤツはあたしをメイドに就職させてやると言い、かれこれ3年
やたっ☆らっき〜などと飛びついたあの頃の自分を蹴飛ばしてやりたい
こうしてあたしは、最悪のど変態と出会ってしまったのである

そんなあたしを後ろから眺める物体の視線を感じながら
彼女は『バカ』と書いた部分に赤で下線を引いた
心底おかしそうにそれは、それは幸せそうにあたしの名前を呼ぶのだから ああ、あたしよ 過去のあたしよ
なぜこいつなのか、どーして、何ゆえに、この「あほたれ」なのか

翌朝、封蝋がされた差出人不明の不幸の手紙が彼の元に届くのは また別の話。





うさうさ館 1

仕事場を地下室に移した最大の理由
何を企んでいるのか身の危険を案じるリナさんがうろちょろするから
仕事があまりにも溜まりすぎて遊ぶ時間が無くなって初めて「これはやばい」と思ったらしい
おかげで「秘密主義」だと思われてしまった
お前な、目の前で尻尾ふさふさされてみろ オレにだって限界はあるぞ
彼は言葉を飲み込んだ

うさうさ館 2


「羊の執事っなんちゃんってー」
明るい声が館に響いた
この男は何を言ってるのだろう
あほか、あほなのか
死ななきゃ治らん病気なのか
持っているがらくたを投げつけてやりたい衝動を抑えながら感想を述べることにした

「ゼロスがなー、僕も何かつけたいですぅって言うから」
「うさぎにすりゃよかったでしょ 悪趣味な…」
「リナとせっかくおそろいなのに」
「…あんたは少しは恥ずかしいと思わないの?」
「リナだって」
「あたしは雇い主の趣味だから仕方なくよ、し・か・た・な・く!」

くたりと、ガウリイのうさみみがしおしおとへたれていくのを見つめながら
ああ、かわいーかも…なんて思ってしまった
あんたがつけると洒落にならないのよとは、とってもじゃないけど 言えない

うさうさ館 3


「おお あなた ひどいひと! わたしに くびつれといいますか?」
ゼロスはまたどこぞの会社員をいぢめているようだった

「すっごい嬉しそうに跳ねてるけど…あいつってサドよね」
「感情が尻尾を動かすからな、今かなり楽しいんだろう」
「あれって、一体何でできてんの?このうさみみもだけど」
「触ってみて分からないか?」
「本物のうさぎの耳みたいだけど…暖かいし、くにくにするし…
 不思議なのが機械らしいものが入ってないのよね」
彼はにやりと、いじわるそうな笑みを浮かべた

「!?」
ま、まさか 千切ったとは言わないでしょうね…
あのかわいいうさぎさんから、ぶちぶちっと、びきいっと

「当社の独自開発によるこのマイクロチップが感情をつかさどる感情脳に…」
「ええ、素材はもちろん本物ではございません」
「おお かってくれますか? わたしたち いつまでも ともだち!」

「…ほ」
「リナ、涙目だ」
「っ…!あんたねっ!」

来客用スリッパが少し不自由ながらも華麗に舞い
涙目の彼の耳がうれしそうにぴょこんっと持ち上がって
解けないから困ってたあたしのかあいい耳も
それにつられて ゆらりと少し揺れた

うさうさ館 4
星を久しく見ていない
見たいとも思わない
小さな頃は月ばかり見ている気がする
月が赤いと聞いた日には外に飛び出して、外灯の明かりが無くなるまで走って
首が痛くなるまで伸ばして、それを見上げた

昔祖母が教えてくれた
「月にはウサギがいる」という話が大好きだった
そこでは餅をつきながら、地球が青いと喜んでいるのよと
「そんなに綺麗なのか?ここ」と聞くと
ああ、ガウリイ 貴方の瞳のように綺麗なんでしょうねと答えた
嫌な事ばかりあるここが綺麗なのか?
うさぎはきっと、目がおかしいから ばーちゃんみたいに眼鏡をかけたほうがいいと…

「ガウリイ、そんなとこで寝てたら風邪ひくわよ、馬鹿だからひかないんだろーけど」
「…ん」

ぼんやりとした視界に、ぴょこぴょこと動くうさぎの耳と、ふわふわのレースが見え
赤い月のような瞳が、こちらを覗いている

「…ねむい」
「起きなさいよいー加減に…毛布持ってくる?それとも」
「リナぁ」
「なっさけない声出してるんじゃないわよ…」



「うさぎが…寂しかっ…」
「うさぎ?」

あたしが毛布をかけると、その異様にでっかい塊は
すうっと、息を吐いて
うさぎの耳をゆっくりと揺らしながら、そのままうとうととまた寝入ってしまった
寂しいって…、こんなでっかい成人男性が何をゆーのか
悪い夢でも見てるのだろうか
らしくないなと次の寝言を待ったが、それで打ち止めのようだ
それにしても気持ち良さそうな場所だ
今日は暖かいとはいえ、館の主人がだ
クッションをかき集めて床で眠ってるとは誰も思うまい
何を思ってこうしようと思ったんだろーか…いや、ここ一番あったかそーだけどさ…
ぽかぽかとした日差しが、彼に降り注いで きらきらと金色の髪を輝かせていた


『そのうさぎは寂しくないのか?』
『寂しくなんかないわよ、貴方と一緒よ』
『オレ、うさぎが大好きなんだ』
『きっとそのうさぎも…』

ばーちゃん、うさぎは 跳ねるんだ
跳ねて跳ねて、いつか地球に来るんだよ
でも、こっから遠いからうさぎは苦労するかな?
だからオレもうさぎになって、跳ねてそいつを助けてやるんだ
オレとうさぎ、どっちが高く跳べるんだろう?
オレはすでにもうこれでもかと跳ねているのに、一向に届きそうにないのは…

瞳を開くと
目の前にとびっきり高くまで跳んできたリナが眠っていた

うさぎがちっちゃくて、元気で、暴れん坊で、そこらじゅうを逃げ回るからだな
オレは毛布を引き寄せて柔らかいそれを強く抱きかかえ
もう逃げないように祈りながら、もう一度眠る事にした




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